カーゼム・ガリーブアーバーディ・人権本部書記 兼 外務省法務・国際問題担当事務次官による、テロ被害者に関するシンポジウムでのスピーチ
神の名において
尊敬するご来賓の皆様
まず、イランの名誉と自尊、独立、領土保全を自らの血で死守したすべての敬愛なる殉教者たちの記憶を称えたいと思います。とりわけ、テロとの戦いにおける栄光の司令官であり世界的指揮官である殉教者ハージ・ガーセム・ソレイマニ中将の清らかな魂に敬意を表します。高貴な殉教者たちの清らかな血は、西アジア地域をはじめ国際の平和と安全を維持し、テロの狂気じみた暴力を抑制する上で、顕著な役割を果たしてきました。
親愛なるご来賓の皆様:
テロ対策は長年にわたり世界の注目を集めてきましたが、今日これまで以上に重要性を帯びています。豊かな歴史と文化を持つ国であるイランは、常にさまざまな課題に直面してきましたが、最も大きな難題の一つがテロとその影響です。テロは、社会の安全と安定を直に脅かし、世界レベルで人道的および政治的危機を引き起こす現象です。イランはこの現象の被害者であるだけでなく、地域および世界レベルでテロとの戦いを先導した最初の国でもあります。
尊敬するご来賓の皆様:
一部の権力者が、「人権」と同様に「テロ」を外交政策の「ツール」の一つとしてしまったことは、恥ずべきことであり、残念なことです。このようなアプローチは、世界の多くの地域でひどい禍根を残しており、テロには境界がないことから、この現象の火はテロの支援者たちにまで及んでいます。これらの国々にとって、テロとは、自国や同盟国の利益を脅かすもののみを指します。彼らは、占領やアパルトヘイトに対する抵抗をテロと呼ぶ一方で、何千人もの罪のない市民の血で手を染めた烙印を押されたテロリストをかくまい、保護しているのです。
テロ問題に関するこの二重基準は、他国に対して道義的に説教をしてきた長い歴史を持つ領有権主張国がますます没落する原因となっています。世界最大の難民キャンプでガザの女性や子供たちが苦しんでいるのを見て、どうして沈黙できますでしょうか?テロと戦うと主張する国々がこの大犯罪を前に沈黙するどころか、メディア、資金、武器を使って人種差別的なイスラエル体制を積極的に擁護し支援していることは恥ずべきことであり、占領に反対し、自国の自決権を求めて闘っている人民抵抗グループをテロリストと呼んでいることはさらに恥ずべきことであります。世界の人々は、世界最大のテロリストを自分たちの集会に迎え、スタンディングオベーションで喝采を送ったことを忘れないでしょう。
自らの不当な利益を確保するため最悪のテロリストに投資することを躊躇しないアクターが存在します。テロに対抗することは困難ですが死活的な課題です。このような不利な環境と、中東全体がISのテロの深淵に陥る寸前だった状況において、ソレイマニ司令官は、人種、宗教、国籍を問わずテロの被害者の保護を追求する運動の指揮を執りました。ソレイマニ司令官と殉教した同志たちは、その戦いが忘れ去られることのない、輝かしい伝説となっています。
ご来賓の皆様:
イラン・イスラム共和国は樹立以来、戦争や制裁、有力者や高官に標的を絞った暗殺、一般市民の集団暗殺など、組織的かつ外部から支援されたさまざまな脅威に直面してきました。過去40年間で、さまざまなテロリスト集団によって23,000人以上の罪のない人々が殉教しました。テロとの戦いにおける二重基準の適用は、明らかにイランにも当てはまります。たとえば、何千人ものイラン市民の暗殺に関与しているMKOグループは、現在、ヨーロッパやアメリカのいくつかの国に公式事務所を構えています。これらの国は、テロリストを裁判にかけたり引き渡したりする代わりに、主要な幹部や高官を政治、財政、安全保障上の全面的支援下に置いています。テロリストをツールとして利用することは、これらの政府にとって伝統と習慣となっており、昨日の犯罪者を人権擁護者の立場に据え、彼らをイラン・イスラム共和国に対する人権記者として利用するほどであります。
このような政治利用にもかかわらず、イラン・イスラム共和国は、テロから国民の権利を保護することを本来の義務であると考えています。この点で、イラン・イスラム共和国は、適切なメカニズムを構築し、テロリスト分子に対する正義とテロの根源への効果的な対処を議題に据えることで、テロの脅威に効果的に対抗することができた最初の国の一つであります。我々は、国民に対するテロと対決し、その主犯と支援者の責任を問う決意があります。我々はまた、テロの殉教者の犠牲に感謝し、これらの愛する人の家族の忍耐と粘り強さに敬意を表しています。
イラン・イスラム共和国は、テロリストがこれらのホスト国の安全な避難所で自由に移動して、テロ活動を指揮または実行するのを許しません。我々は、テロリストの非訴追と対決するためにあらゆる能力を活用します。テロリスト撲滅に関心のある国に協力の手を差し伸べます。テロは特定の国に対する脅威であるだけでなく、国際社会全体に対する脅威でもあります。イラン・イスラム共和国は、地域および国際レベルで各国と直接協力し、テロとの戦いにおける共同協力の拡大を常に模索してきました。テロは、集団的対応と世界的連帯を必要とする現象です。
抵抗と、テロとの戦いの模範的存在である殉教者ソレイマニ司令官の卑劣な暗殺の記念日に、イラン・イスラム共和国のテロ犠牲者の最新リストが公開されたことは、すべてのテロ犠牲者、テロとの戦いの英雄、そしてその生存者、殉教者たちに敬意を表す貴重な機会です。彼らは、自らの犠牲によって、イランとイラン国民、そして地域の人々に、さまざまな分野で安全と安定、国家の名誉と威信をもたらしてくれました。共同の取り組みにより、テロと暴力の被害国がなくなる日が来ることを願っています。
最後に、この式典にご出席いただいたすべてのご来賓の方々、そして会議の主催者および関係者(外務省、殉教者・退役軍人財団、人権本部、ハビリアン財団)のご尽力に感謝申し上げます。
ご清聴ありがとうございました。